3月16日 20:47 Kさんが里の家を卒業していかれました。
約8か月前の夏の暑い日にKさんは病院を退院して里の家に来られました。若いころに肺を患ったKさんは酸素吸入を欠かせません。
里の家に来られた当初は病状が不安定で夜中に医師の往診を受けたこともありました。その後次第に病状は安定し、Kさんは念願のリビングに車いすでいらっしゃって、みんなと一緒にお茶を飲むようになりました。
とんかつとウナギ、黒豆とあんこ、お芋、バナナが大好物のKさん。味付けは濃いのが好き、ソースは一杯かけるのが鉄則!毎日、夕方になると「お腹空いたよ~ご飯まだですか~?」と言っていましたね。
88歳のお誕生日には後見人さんの他、訪問看護師さんやケアマネさんも駆けつけてくださいました。
里の家の一周年パーティーにも参加され、その時はちょっとだけお医者さんの見守りの中、シャンパンも味わいました。
お正月はベッド上でおせち料理を召しあがりました。
この頃より体調が不安定となり、切ない日々が続いたと思います。誰かに傍にいてほしいとスタッフを呼んでいました。
苦しい中でも唯一ほっとするのは美味しいものを口にする時。「あんこが食べたい」、「お芋を煮てほしい」、「バナナは皮を剥きながら食べたい」等々。食べ物はスタッフとのコミュニケーションツールになっていました。スタッフはKさんの為に小豆を煮て、お芋をふかし、寄り添いました。
毎日20時過ぎ、「お腹が空きました。お芋でも食べましょうか…」とコールをしてきたKさん。
この時間はスタッフが自分だけに付いてくれることを判っていたのでしょうね。ひとしきり、堪能すると「ありがとうございました」と穏やかに眠りにつきました。
こんな毎日が永遠に続くような気がしていましたが、最期の時はゆっくりと訪れます。
最期の1週間、眠ることが多くなり、浮腫みもお腹の張りもなくなり、痰の絡みもなく、体の中のいらないものをみーんな出して、Kさんは静かに永遠の眠りにつきました。
その時は本当に曖昧でした。
訪れた先生は「よく頑張りましたね」と。訪問看護師さんは素敵なグリーンのチャイナドレスを着せてくれました。そして、スタッフはいい香りのコーヒーを入れてくれました。
Kさんの口元が緩んで微笑んでいるように見えます。
Kさん、里の家にいらしてくださり本当にありがとうございます。家族のようにともに過ごした日々は宝物です。
感謝